NPO独自取材

鎌ケ谷市赤十字奉仕団「一日赤十字」に参加して

7月14日(土)市総合福祉保健センター6階において、午前10時から正午近くまで平成30年度の鎌ケ谷市赤十字奉仕団「一日赤十字」が開催された。今回の開催目的は、鎌ケ谷市赤十字奉仕団のメンバーが献血必要性と血液センターの役割を学ぶ研修会であった。

午前10時から赤十字奉仕団向けの研修会が開催された。開会に先立ち赤十字奉仕団員の信条唱和と「あこがれの赤十字」斉唱が行われた。主催者挨拶として、日本赤十字社千葉県支部鎌ケ谷市地区の皆川委員長が挨拶された。この中で、今回は赤十字奉仕団鎌ケ谷地区メンバーの勉強会で、先日千葉県内の血液センター見学の結果、献血の重要性と血液センターの役割について学ぶ機会があったが、欠席された方もおられるので今回の「一日赤十字」で取り上げたと述べられた。

皆川委員長 赤十字奉仕団の信条 宮脇主事の講演

また、今回の鎌ケ谷市赤十字奉仕団の行事は、午前中に「一日赤十字」を開催し、参加者は100名ほど、また午後からは「パパママ救急法講習会」を実施し17組の参加者を予定している。

当日の研修スケジュールでは:

1.趣旨:
人間が人間らしく生きるため、様々な人道的活動を推進する赤十字の思想や活動を市民に周知するとともに、奉仕団の資質向上と技術研鑽を図ります。
2.事業内容:
①講演 「献血・血液センターについて」講師:千葉県赤十字血液センター 献血推進一部推進課 主事/宮脇 豊氏 ②アルファ米体験と試食

①の講演内容については、最初にDVD視聴による献血の重要性と血液センターの役割を学ぶもので、最初のテーマは「赤い血が日本を動かしている」、赤十字血液センターの役割や、献血を受け付ける献血バスで採取した血液をどのような順番(血液検査→製剤→冷蔵・冷凍保管→供給)で処理され、医療機関(★輸血用血液製剤 ★原料血漿)へ届けられているかを説明した内容に加え、採血基準についても全血献血(200mL献血、400mL献血)と成分献血(血漿成分献血、血小板成分献血)等についてビディオの中で説明された。また、献血活動を促進するために事故や病気治療の目的で血液を必要とされる現場から、学校や職場で献血の大切さを理解し協力していただける必要性を訴えていた。

献血バス 研修会場に多くの団員が 女優の小林麻耶さん

二番目は「命の授業」女優の小林麻耶さんが、講演を行った高等学校で、子供頃からずっと仲の良かった最愛の妹をがんの病気で亡くされた体験をもとに、がん治療に多くの血液を使いその供給元である血液センターの役割の重要性と、輸血に必要な献血の大切さを訴え、聴衆の高校生に自主的に献血に協力するようにお願いをしていた。

続いて、「献血・血液センター」について、宮脇主事の講演が行われた。その中で千葉県血液センターの現状について説明があり、献血バスは船橋3台、千葉市7台があるが稼働状況は80%程度。採血の主なものは全血献血(400mL)と成分献血であり、全体の献血方法別の構成比は400mL献血が68.6%、成分献血が28.4%、200mL献血が3.0%である。(日本赤十字資料より)。千葉県内で何故献血採血しなければならないのか、その理由は血液が足りないこと。そして献血者の多くが50歳未満の方で70%を占めるが、少子高齢化を迎えて年代別献血者の内16歳~19歳の献血者数が減少しているので、今後どのようにして若者の献血者数を増やすのかが課題であると話された。

献血方法別の構成比 疾病別輸血状況 年齢別献血者数推移(千葉県)

血液不足のもう一つの理由として、首都圏の大きな病院が千葉県内に移動してきているため、血液使用量が増加している。また献血で確保した血液の疾病別輸血の状況は(2016年 東京都)輸血用血液製剤の多くはがん(悪性新生物)の患者の治療(37.4%)に使われている。更に、献血のメリットは、血液を提供する献血者の血液検査で、自分の健康状態を「検査成績のお知らせ」で知ることが出来る。

②赤十字奉仕団の鎌ケ谷地区では、災害時の非常食として「アルファ米」の体験と試食を実施した。アルファ米(炊飯または蒸煮(じょうしゃ)などの加水加熱によって米の澱粉をアルファ化(糊化)させたのち、乾燥処理によってその糊化の状態を固定させた乾燥米飯のことである。)は非常時の保存食として通常は粉末にして保存している。非常時には水やお湯を加えて約50分ほど(お湯の場合だと20分程度)すれば非常食として手軽に食べられる。筆者もこのアルファ米を試食させていただいたが、お米だけでなく具材も入っており、味としては鳥飯に近いものだった。

非常食のアルファ米 アルファ米の説明 アルファ米の試食

午後の部は、「パパママ救急法講習会」で午後1時~3時頃まで行われた。予期できない子どもの事故や怪我などの応急手当の講義と、人形を使った実技(心肺蘇生法など)を体験した。乳幼児救急法短期講習会が、伊藤時子さん、中村潤一さんの指導で行われた。参加者は17組。

短期講習会の内容としては以下の通り:

1.学科
①赤十字について ②乳幼児安全法とは ③生命の兆候観察 ④子どもの手当 ⑤その他
2.実技
実技1: ①手当の基本 ②観察・体位変換・回復体位
実技2: ①一次救命処置 異物除去 ②背部叩打法 ③腹部突き上げ法
実技3: ①傷病者発見から引継ぎまでデモ(大出血・意識なし、呼吸なし説明なし)②グループ分け(3人1組づつ)傷病者の発見から観察・協力要請の実技:説明・全員で実施
実技4: ①人形セットの仕方(幼児)②心肺蘇生法(3人・1組)各グループで★実施上の注意点 ★心肺蘇生法分習+説明 ③(CPR・AED持参・交代含むデモ)30回圧迫・2回吹込み・30回圧迫×2~3回転
実技5: ①CPRとAED(各グループで)★AEDについて ★取扱いと使用上の注意 ②衣服着脱、電極パット添付時、心電図解析中、ショック時、引継ぎなど ③全体練習(意識なし、AED持参、交代、引継ぎ)
実技6: 幼児の心肺蘇生法&AED ①胸骨圧迫の仕方 ②深さ ③パットの付け方(*消毒、清掃・収納)
実技7: ①応用包帯 ハンカチ、バンダナを使って ②パンスト、救急絆創膏

レポート:S.K