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第33回 家庭医学講座「高齢者に多い感染症について」

平成27年2月24日(火)午後1時30分から2時30分、市の健康福祉部・健康増進課が主催する「家庭医学講座」が総合福祉保健センター3階において開催された。

市の主催する家庭医学講座は、昭和57年より始まり、今年で33回目を迎える。市内の身近な医師から毎年、さまざまなテーマで講演を聞くことができると好評である。

この講座は、市が行う生涯学習事業(公民館等社会教育施設や鎌ケ谷市役所または社会福祉協議会などで主催する事業)「さわやかまなびぃ100」に登録されている。さわやかまなびぃ100とは、まなびぃカードで100単位、300単位、500単位(1回の出席で1単位)を取得された人を表彰することにより市民の生涯学習を奨励する制度である。

当日の講座は「高齢者に多い感染症について」と題して、鎌ケ谷市医師会の野村 直人先生より講演が行われた。配布された資料とパワーポイントを使って、感染症について先生より次のような説明があった。

主催者側より講師の先生を紹介 講師の野村 直人先生

最初に人体の呼吸器の構造と呼吸器感染症の分類について説明された。次に呼吸器感染の症状が軽い上気道から下気道、中間(移行)領域と進み、菌が肺胞に至ると呼吸器感染の症状は更に悪化して肺炎を引き起こし、さらに進行すると胸膜で胸膜炎を引き起こし重症化することになると話された。

こうした呼吸器感染症を引き起こす原因病原体は、日常生活で主に細菌やウイルスなどが呼吸器に侵入して起こる炎症である。こうした感染症の原因となる細菌やウイルスは、人の体や日常生活の中に存在しているとの事。こうした感染は高齢者だったり病気があったりして、抵抗力(免疫力)が弱まった時に等に感染を起こしやすく、重症化すれば死に至ることもあると説明された。

野村先生の説明では呼吸感染症による、年齢別疾病率、死亡率を見ると高齢者の方は病気が治りにくく、死亡率が高いと話された。

また、急性気道感染症の主な病原生物として、呼吸器系ウイルスで、A群溶連菌、インフルエンザ菌、肺炎球菌、マイコプラズマ、肺炎クラミジアなどを示し、それらのウイルスや菌は人体の各部位に侵入し、風邪症状、咽頭部位に起こる炎症、急性気管支炎、肺炎などを引き起こすと説明された。

「家庭医学講座」の動画

配布された資料に織り込まれた「高齢者は肺炎に気をつけて!」のパンフレットの中にも、肺炎による年間死亡者が約12万3千人の内、96.7%が65歳以上の高齢者であるとの統計結果も出ている。厚生労働省の人口動態統計によれば平成25年(2013年)の日本人の死因の第1位はがん、第2位が心臓病で、肺炎は第3位である。こうした肺炎は高齢者にとって命に係わる病気であり、その予防方法や症状を知って、肺炎を防ごうとある。

このパンフレットの中に、高齢者の肺炎の特徴として ①症状が乏しいので発見が遅れがちに ②持病やインフルエンザとの合併症を起こしやすい ③飲み込む機能の低下が招く誤嚥(ごえん)性肺炎  高齢者で肺炎が疑われるときにはすぐに医療機関へ行くように勧めている。

次にインフルエンザについて説明があった。

インフルエンザとは、インフルエンザウイルスによる急性の呼吸感染症である。流行期は12月上旬から3月下旬、1月末から2月上旬にピークを迎える。その潜伏期間は通常で1~3日 その特徴として感染力が強く、主に飛沫感染で人から人へと短期間に感染が拡大する。

主な感染経路は、飛沫感染が主で、①飛沫感染:咳やくしゃみと共に放出されたウイルスを吸い込むことにより起こる ②接触感染:ウイルスが付着したものをふれた後に目、鼻、口などに触れることで、粘膜・結膜などを通じて感染 ③飛沫核感染:ごく細かい粒子が長い間空気中に浮遊するため、患者と同じ空間にいる人がウイルスを吸収することによっておこる感染も状況により成立する。

インフルエンザの年齢別疾病率・死亡率では①幼児ほどかかりやすい ②高齢者程死亡率が高い。

また、少し専門的すぎて難しかったがインフルエンザウイルスの構造、インフルエンザには主に3種類(A型、B型、C型)あると説明があった。過去に世界的大流行を引き起こしたインフルエンザ(パンデミック)で1918~19年 A/H1N1型 のスペインかぜが流行し、死亡者は4000万から8000万ともいわれる、最近では香港かぜ(1968 ~69年)、新型インフルエンザ(2009年以降)が起きている。

次にインフルエンザの予防とその予防ポイントとして、①日頃から十分な休養とバランスのとれた栄養摂取 ②外出時のマスク(不織布製)着用 ③帰宅時の手洗い ④流行前のワクチン接種を挙げられた。

インフルエンザワクチン 80%の効果 12月までにワクチン接種が望ましい。 治療薬として、タミフルとリレンザは5日間投与する必要がある 抗インフルエンザウイルス薬(吸入)として、ラニナミビル(イナビル)、(点滴)としてペラミビル(ラピアクタ)を投与日数で1回 有効性はA型、B型に効く。

肺炎は高齢者に増えてきている 予防対策はワクチン接種である。

配布パンフレットの中に、「肺炎を予防するために」の中で、肺炎予防について大きく二つの方法があり、①予防接種で細菌・ウイルスへの抵抗力をつける方法 ②もう一つは生活習慣の見直しで体の抵抗力を上げたり、誤嚥を減らす方法である。

ワクチンの接種で肺炎防止を行うため、2つのワクチンを併用することで、肺炎の予防効果が高まると記述されている。 ①インフルエンザワクチン(毎年接種):インフルエンザの重症化を防ぎ、肺炎などの合併予防になる。 ②肺炎球菌ワクチン(5年以上間隔を開けて):肺炎球菌ワクチンの接種により、肺炎球菌による肺炎の予防と重症化を防ぐ効果が期待できる、65歳以上の方や持病のある方への接種が推奨されている。

日本の高齢者人口の変遷として、野村先生よりグラフで説明された。その中で2010年人口は1億2千万人でピークを迎え、その時の高齢化率は23.1%であった。そして2055年の高齢化率(後期高齢者:65~74歳)は実に40.5%と現状の2倍にもなると予測されている。 こうした統計から、将来高齢者が増える中で、病気で入院や介護を必要とする高齢者を増やさず、一人でも多くの高齢者が健康で元気に活動できる環境や支援制度を拡充していく必要があると思われた。

当日の受講者は約50名、高齢者の男女の方が多く見受けられた。

(レポート:S・K)

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