NPO独自取材
避難所運営ゲームHUG(ハグ)をやってみよう!
平成26年7月27日(日)午後1時30~4時まで、市の総合福祉保健センター6階大会議室に於いて、鎌ケ谷市健康福祉部社会福祉課と鎌ケ谷災害救援ボランティアネットワークが主催する、かまがやまなびぃ大学しあわせ学部主催講座「避難所運営ゲーム(HUG)」が開催された。会場には50名以上の主催者側のスタッフや一般市民の参加者で広い会場も人で埋まる感じだ。
避難所運営ゲームに参加した人 | オレンジのベストを付けたスタッフ | 避難者の受け入れを即座に判断 |
3年前に起きた東日本大震災でも、千葉県内で巨大地震による津波被害で千葉房総の旭市では海岸沿いの家屋が壊滅的打撃を受けたり、また利根川沿いの我孫子市では液状化による地盤地下で多くの家屋が被害を受けて、復興までに多くの年月を要した。
この様に、地震などの自然災害の発生はこれだけ科学文明が進んだ世の中においてさえ、いつ何時起きるか予測が難しい。こうした環境下で、今回はある町で地震発生に伴う周辺住民の避難者受け入れにどのように、避難所運営をするかというシュミレーション(模擬訓練)ゲームである。
避難所運営ゲームに取り組む参加者の方
ここでいう避難所運営ゲームHUG(ハグ)とは、避難所(H)運営(U)ゲーム(G)の三文字からとった略号である。
ゲームの概要は下記の通りである。
◆学校避難所を舞台に「避難所運営を任されたという想定」のもと、次々にやってくる避難者の状況や要望を考慮しながら、迅速かつ適切に対応できるかを疑似体験するゲームである。
避難所配置を見ながら適切な指示を | 配置図に指示事項を書き込む | 3分で避難者受入を判断する難しさ |
◆ゲームの方法は、避難所に見立てた平面図に様々な状況カードを配置して行く。
◆役割と手順:(各班の中で役割を決める)
- ①進行役(読み手)1人・・・避難者の情報などが書き込まれたカード(避難者カード)や、何らかの事態発生を知らせるカード(イベントカード)を読み上げる。
- ②プレイヤー4人・・・読み上げられたカードに基づき、★避難者カードの場合は、その配置を決め、その場所にカードを置く。★イベントカードの場合は、その事態発生に対してできる限り適切な対応をする。
- ③記録役1人・・・イベントカードの質問への回答やとった対応を記録する。
◆このゲームで使用する道具
- ①避難者カード:このカードを避難者の受け入れ情報として、避難所のどの場所に避難してもらうか平面図に配置をする。
- ②イベントカード:災害対策本部からの連絡事項、避難者からの質問や要望などがあるので、それに対応する。
- ③一般的な体育館の広さ:20m×30m=600㎡ 200人収容可
- ④避難所とされた学校の各階配置図:1階から3階まで
- ⑤A4用紙で各教室:各教室ごとに避難者の受け入れ情報を(カードを配置)表示する。
- ⑥避難所(学校)の敷地配置図:この配置図上に避難者の情報を記載していく。
避難所に指定された学校の各階教室に誰を受け入れたかカードで表示
この避難所運営ゲームを行う上での、状況設定が3つある。
(1)状況設定:
- (前提条件)
- ①地震発生:休日の午後1時頃、季節は今頃
- ②避難所に来た時間:同日の午後2時頃
- ③同じグループの人は、避難所の運営を任された住民になったつもりで、次々にやってくる避難者の状況や要望を考慮しつつ対応する。突発事態にも対応する。(★どこに?どうやって?を常に考えて対応)
- ④任された避難所は小学校。学校関係者は来ておらず、市役所から職員が駆けつけることもできない状況と考える。
(2)状況設定:
- (避難所の午後2時段階の状況)
- ①電気:停電。復旧見通し不明
- ②ガス:供給停止
- ③水道:断水
- ④電話:携帯電話は輻輳でかからないが、メールは使える(遅れる)。学校の職員室に設置してある電話は災害時優先回線になっており、地震時でも使える状態になっている。公衆電話は近くにない。
- ⑤トイレ:水がでない。
- ⑥鍵:近所に住んでいる町内会の役員がすでに開けていたようである。しかし、運営については当面、ここにいるグループメンバーだけで対応しなければならない。
(3)状況設定:
- (避難所の備蓄状況)
- ①備蓄食料:200食
- ②非常用飲料水:2Lペットボトル100本
- ③応急手当て用キット:基本的なものが5セット
- ④毛布:200枚
- ⑤簡易救助用具:2セット(バールやのこぎり)
- ⑥体育館用非常用照明装置:1セット(12時間連続運転可能)
- (避難所の状況)
- ①仮設避難所は設置されていない。
- ②仮設トイレは見当たらない。
上記の地震発生時の設定状況下で、避難所運営ゲームが行われた。最初に30分ほど①「避難所運営ゲームのルール説明」10分ほど②自己紹介、役割分担の決定、60分ほど「ゲームの実施」、その後休憩を含めてい1時間程度の振り返り(意見交換、感想)などが述べられた。
この避難所運営ゲーム(HUG)を取材に来た、筆者も当初は何をどうやってゲームを進めているのかよくわからなかったが、一つの班の中に座り、メンバーがこのゲームを進めているのをしばらく見ている中で、ようやくゲームの進め方がわかってきた。
進行役の読み手の人が次々と避難者情報や事態発生を知らせるイベントを読み上げると、プレイヤーの方たちはその情報に基づき、次々と避難者をどこに受け入れ、他に事態発生が生じた時どう速やかに対処するかを、3分以内に判断して適切に処理していくはずなのだが、実際にこの様子を見ていると、普段この様な状況に遭遇した経験の無い市民は、避難者の受け入れ誘導にも、事態発生への適切な対応が出来ずに右往左往されいるのが伺えた。そのためか一つの事態発生に対して3分以内に処理できず、対応出来なかったカードが読み手の側に沢山溜まっていた。
主催者側の用意された、このシュミレーションゲームも実に良く考えられていて、実際に起きるであろう災害時の対処訓練にはきっと役立つと思われた。各班(テーブルごと)に主催者側のメンバーがついてゲームがスムーズに進行するように適切なアドバイスも与えられていたが、しかし答えを出すのは参加メンバーによる自主判断である。
では、実際に筆者もこのゲームに参加して適切に対処できるかについては、自信が無い。しかし、前述の通り、地震や台風、水害など自然災害の危険性は常にあるわけで、一般市民としてこうしたシュミレーションゲームによる疑似体験を経験しておくだけでも、自然災害に対する心構えが出来て大変有効であると思われた。
レポート:S.K