NPO独自取材
こどもだんらん食堂を運営するNPO法人ゆこびと
6月14日(月)NPO法人ゆこびとの代表である御代川麻奈美さんに、市内で「鎌ヶ谷こどもだんらん食堂」を運営するNPO活動の内容について伺った。
このNPO法人ゆこびとの創設の以前には、2年ほど任意のボランティア団体として東部学習センターの調理室を借りて、市内の子供たちの食事支援活動を行っていた。4年前にこうした貧困家庭における子供の食事支援活動を続けるためにも、NPO法人化する事で団体に寄付してくれる方への社会的信頼を高め、また行政などへの助成金の申請に有利であることから、NPO法人化を図ったとの事である。現在のNPO法人ゆこびとの会員数は20名程である。活動に参加をするためには会員として入会する必要があるが、年会費は3千円としている。
昨年度の決算報告書も出来て、新年度の繰越資産は約65万円程だ。一昨年度に比べて増加をした理由は、昨年は新型コロナにより、貧困家庭の援助に市民の方からの寄付が増えたこと。さらに昨年度は助成金が数多く出たため、その資金を獲得出来た事によるとのことだった。代表の御代川麻奈美さんは、「コロナが終わった後、この関連助成金はなくなってしまうと思うので今後どこまで続けていけるのか?と考える事もあるが、市民の方から寄付のお声がけなどをいただくとこの活動を一緒に支えてくださる方がいると感じられ励みになった。」と話していた。
NPO法人ゆこびと | 鎌ヶ谷こどもだんらん食堂 | だんらん創作レシピ |
現時点でのNPO法人ゆこびとの事業は主に3つに分かれる
- ①従来より行っていた「鎌ケ谷こどもだんらん食堂」は新型コロナウイルス感染拡大により1年間活動は停止せざるを得なかったが、本年10月頃から再開を検討している。
- ②「だんらんカフェ」は小規模レベルのこども食堂で月4回程度の高頻度で運営をしている。
- ③新規事業として令和2年3月より実施をしている「フードヘルプかまがや」、この事業は失業などで収入が減ったりした、支援要請のあった家庭に対して食材を届ける活動である。
食材の確保については、食材という形での農家や市民の方からの寄付に加え、助成金や企業、市民の方からの寄付を使って食材の購入を行い要請のあった家庭に配っている。 その他にも、東葛地域のこども食堂で連携して東葛フードバンクを作っており、皆で分配して食材の配給を行っている。しかし、全国規模で支援が広がっているため、ここからの食材提供量は初期に比べて減ってしまっているとのこと。
食材配給のシステムとしては下記の4種類の事業がある。
- ①フードドライブ:食材を広く市民より集める
- ②フードパントリー:食材を来た人に配布(配給)する。
- ③フードバンク:フードロスなど食物を集めて、支援要請のある個人に配給する団体
- ④フードヘルプ:NPOゆこびとの活動。フードバンクほどの規模はないが、食材配給の要望を受け付け、申込者の家庭の状況を考慮して必要であれば継続的に配布をしている。
新型コロナウイルスの感染拡大により、市内でも明日食べる物が無いと言った家庭の相談が増えている。日頃から生活が苦しいというご家庭を含め、NPOゆこびとが把握している家庭は23所帯。市のこども総合相談室とも連携し食材の支援を行っている。市内の貧困家庭の全体像はわからないが相対貧困率は0.05%程度と思われる。
今回、休眠預金事業の助成を受け、7月31日(土)「こども食堂フォーラム」、その後「こども食堂立ち上げ実践講座」が開催される。開催に至った経緯は、現在「こども食堂」を運営している所は市内で1箇所のみ。家庭の貧困で苦しんでいる親子を支援する活動をしたいと望んでいる市民もおられるが、実際に「こども食堂」などを開き運営する方法などが分からなくて、実現に至らないケースもあると思われる。市内で「こども食堂」の輪を広げるためには、こども食堂を知ってもらうこと、そしてこども食堂に協力してくれる仲間を集めることが必要ではないかとフォーラムと講座が企画された。鎌ケ谷市役所、社会福祉協議会も後援している。
「こども食堂フォーラム」
内容は:
- ①第1部 基調講演:
- こども食堂と時代から困窮の社会に必要なもの~
- ②第2部 パネルディスカッション:
- ★こども食堂の現状
★鎌ケ谷のこども食堂と体験談
★「こども食堂ネットワーク」と市役所の連携
「こども食堂立ち上げ実践講座」
9月4日(土)~12月迄の全7回開催するも中央公民館学習室1で午前9時15分~11時45分までの各2時間講座を開催しているので、市民の有志の方でこども食堂を仲間と共に作りたいという方は是非参加してほしいと話された。
貧困に苦しむ子供や家庭を支援するこども食堂をサポートする制度には、現状では各市や県で支援レベルの差がある。 鎌ケ谷市はその点、民間による「こども支援活動」については協力的である。 事例として、「こども食堂」を開催する場所の無償貸し出しなどがあるが、しかし今のところ継続的な活動支援(助成金)などは無い。
しかし、鎌ケ谷市内でこどもを支援しようとする人は確実にいる。今も企業から月額1万円ほどの寄付金の提供もあった。 こども食堂の運営に資金面の不安を抱く人もいると思うが、月に1回程度20~30名規模の「こども食堂」を開催するのに必要な資金を集めることはできる土壌はあるようだ。
最後に読者に伝えたい事として、代表の御代川麻奈美さんが望むのは、せめて市内に3か所ほど新しい「こども食堂」の運営を行う団体が出来れば、こどもたちが自らの足で通うことができるようになるし、目の行き届かない市内の地域でも子供たちに温かい食事を提供する事が出来るようになります。現在市内には「こども食堂」を運営する団体は当NPOゆこびとしかありませんが、貧困の根っこは深く、子供を安心して育ていける家庭環境を築く支援活動を共に手を取り合って行っていきたいです。さらに、今後は行政や国会議員に働きかけて、国の子育て助成制度の充実を図っていってもらえたらよいと考えています。との事でした。
レポート:S.K